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句集『澪杭のごとく』 幹 自聲

2023-03-03

句集『澪杭(みおぐい)のごとく』 幹 自聲(かん・じせい)

発行:令和5年2月14日

発行所:株式会社 文學の森

自選15句

底なしにあをき空あり風花す

朱鷺の首雪降るたびに黒くなり

束風や上路の山の潮まみれ

堅雪を朱に芽鱗のおびただし

水鳥の鋭きこゑを地震の刻

熱燗や廃炉作業に出稼ぎと

除染済確認せんと巣箱掛く

朧夜や狂はぬやうに水を呑む

親不知海より揚がる蟬のこゑ

慰めん夏野へ墜ちし魂ふたつ

蔓荊の香に清貧の月日かな

黄落や死ぬるまで今日積み重ね

鉛筆に詩嚢宿るや霜の夜

灯りて澪杭のごと枯野宿

気嵐の黄金色や立山より暾

 

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